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<フライヤー表紙>
【PRODUSE UNIT JOE Conpany 公演】
小野寺丈


三浦浩一、大島宇三郎、小野寺丈、横山一敏、AKIRA、橘ゆかり、高橋将(劇団S.W.A.T!)、植松洋、藤村忠生、渡洋史、大場達也、成瀬優和、堀越富郎、CHIKA、おおたにまいこ、渡辺直子(劇団NLT)、坂口真紀、倉方規安(Innocent Sphere)、栗須絵里子、園田真子、本山香織・光本幸子

本多劇場 06/08/16〜20
本多劇場 06/08/16

時は江戸時代・寛政の世。巷では謎の浮世絵師東州斎写楽が28点の役者絵を描き、瞬く間に世の話題となっていった。絵のモデルとされたのは歌舞伎役者の大谷鬼次(三浦浩一)や中村此蔵(小野寺丈)、板東善次(藤村忠生)、中島和田右衛門(成瀬優和)といった役者達だ。ところが、歌舞伎界は前代未聞の不況にあえぎ、いずれも休座を余儀なくされた。唯一公演を許された場所は、格下の芝居小屋。仕方なく、役者達の給金は下げざるを得なくなっていたが、役者の意見は賛否両論。そんな中、大谷鬼次は給金がさがっても大好きな芝居を続けたいと思っている役者だった。
鬼次の次作は遊廓が舞台となる。しかし、遊廓を知らない鬼次はイメージを掴もうと実際に行き、そこでとても美しい女郎・お咲(橘ゆかり)と出会い、恋いこがれてしまうのだった。
ところが、大谷鬼次・二代目沢村淀五郎(渡洋史)・中村此蔵は何者かに命を狙われ闇討ちに合う。大谷と中村は助かったものの、ひょんな事から現代の世・平成18年に突如として現れた。着物姿の大谷を助けたのは、母を病で亡くし、その後に父も蒸発してしまったとある家族だった。
寛政の人々の巻き起こす事件に巻き込まれ、その事件を追い掛けていくうちに、意外な謎が浮かび上がってくる。
天才絵師写楽の真実とは?
写楽の浮世絵に隠された謎とは??
歴史ミステリーの謎が、今解きあかされる。


7月に観た芝居で、その実力をまざまざと見せつけられた役者さんがご出演ということで行ってきました。
脚本・演出・出演はあの、小野寺丈さん。
きっと、あの会場中でお顔とお名前が一致しないまま、幕開けを迎えたのはワタシだけでしょう、、、。その為、小野寺さんが舞台に登場された時、すっっっっごいびっくりしたのは言うまでも有りません(笑) 昔はTVドラマ「HOTEL」を欠かさず観ていたんだけどなぁ〜。先輩ベルボーイだったんですよね、小野寺さん。どうりで、本多ロビーは花で溢れていて、関係者受付が長蛇の列だったワケです。※ちなみに、役者さんのお名前が分っている主演者は、イッペイくんと、東條マネージャー位でしょう。←少な!!
さて、ストーリーは江戸時代に突然現れ、そして突然消えた謎の浮世絵師「東州斎写楽」の謎に迫る物語。ひょんな事から時空を飛び越えて現代にタイムスリップしてしまった江戸の歌舞伎役者大谷鬼次(三浦浩一)。その大谷鬼次の周囲の人々の運命は複雑に絡み合い、時を越えて出会う事を待っていたというドラマチックな部分に、写楽が残した浮世絵や写楽自身に対する小野寺さん独自の解釈が加えられて謎解きをしていく「ダヴィンチ・コード」ちっくな歴史ミステリーが平行して存在する。現代と寛政が交互に現れ、一瞬にして江戸・一瞬にして現代へと時空が変わるテンポはリズミカル。登場人物のアンダーグラウンドもとてもしっかりと描かれていたので、舞台という限られた時間・空間では勿体ない。むしろ、より広がりを持っている映像(映画やドラマ)で、もっと深く描いて欲しかったとすら感じました。ソレくらい登場人物は個性豊かで、役者の持つカラーも年齢層も満遍なく、バラエティーに富んでいた。「浮世絵」にそっくりな人(確かに本人が絵のモデル)もいて、それが妙にリアルティー溢れてたっけ。
出演者が多かったけれど、エキストラ的要素が強い人もいたので、全員がストーリーに必要だったかどうかは・・・ちょっと謎。
印象に残ったのは、とてもお美しい、お咲と現代刑事役を務めた橘ゆかりさん。←敢えて2役とは書きません(笑)
お咲も刑事もとても凛としていて、才女。劇中では誰よりも彼女が一番激動の人物で、キーマン。大谷鬼次が現代にやってきた事によって、数奇な運命を辿った運命の女性なのである。「生きる為に」今迄して来た数々の事も吹っ飛ぶようなエンディングに、同じ女性としてホッとしました(笑)
そして、、、平成の兄妹家族・末娘の爆裂女子高生まのん役の園田真子さん!! まのんは現代っ子にぴったりな天真爛漫さを持っていて、思った事はとにかくどんな事でも口に出す。とてもマイペースで、感情の波がなく常にテンションが低くて、かったるそぉ〜にしてるの(笑) 要所要所で現れては、その低いテンションと毒舌で絶妙に相手と絡み、その時の空間と間とを持っていく美味しいどこドリ。あのけだるそうな雰囲気は、なかなか出せたモンじゃないですよ(笑)
あ、小野寺さんのチョンマゲ頭に、腹にサラシを巻いているのが透けて見える紫色のシースルーのねぐりじぇ〜姿。。。今でも目に焼き付き、無条件に笑えます(笑)

「写楽絵」についての謎解きに挑んだのは、現代の兄妹家族のまどか(おおたにまいこ)と秋彦(高橋将)で、現代では江戸文化評論家で、寛政から時空を越えてやって来た芝居小屋主人の河原崎菊千代(光本幸子)を「その謎を知るもの」として招き、行われた。解釈はとてもとても興味深く、熱心に耳を傾けてしまった。
その解釈とは、「写楽絵」そのものが「殺人予告」であり、着物等に入っていた「家紋」にその謎が隠されているということだった。その「殺人予告」を思わせる「写楽絵」を1枚1枚、スクリーンに映し出してくれたのでとても分かりやすく見る事ができた。
今となればキリスト教はタブーではありませんが、江戸時代は「踏み絵」があった程。その為、それぞれは「隠れ切支丹」となってひっそりとキリスト教徒でありつづけた。その印が四つから三つに切れ目の入った「家紋」で、十字架を密かに表していた。役者小屋や役者は、個人的に大名等のお偉い方からスポンサー的な援助金を貰っていたので、そのお礼に「隠れ切支丹」達を闇討ちする作戦を練り、それを知った写楽がそれを臭わせる為に「隠れ切支丹」と「そうでない者」と2人を一枚の絵に描いたのでないかと。凄い、この深さ!! こういうの好きなのよねぇ〜。※家紋は事実かもしれないけれどね
「写楽は誰か」という部分は実にファンタジーで美しく、綺麗にまとめられていて、ちょっと納得。なぜそれぞれの「写楽絵」のモデルである役者達のパーツ(手・口等)は誇張されて描かれているかという部分は、劇中写楽自らが理由を述べて踏み込んだ位置付けがされていて、これにもまたリアルで納得。ソレを語る相手が、これまたひょんな事から江戸時代にタイムスリップしてきた「元・現代人」の霧島左平次(大島宇三郎)だったりする。この霧島左平次にも、複雑な生きざまがあったのよね〜(泣) 最期、家族に会えて、良かったよぉ〜〜(泣)

小野寺さんの人柄を忍ばれる程の愛情と、謎解きの面白さを合わせ持つ「ハートフルヒューマンSF」に仕上げた小野寺さんの脚本は本当に凄いと思ったわ〜。しかも、元は1997年12月に初演されていたというんだから、これまたビックリです。




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