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<フライヤー表紙>

  【演劇キックプロデュース】
ブルースカイブルースカイ

廣川三憲/大堀こういち/原金太郎/新井友香/池谷のぶえ/小村裕次郎/加藤啓/辻修/市川訓睦/野間口徹/加藤直美/吉本菜穂子/高木珠里/猫ひろし/いとうせいこう/荒木秀行/加瀬澤拓未/工藤史子/斉木茉奈/アイハラミホ。/青山隆之/石川祐子/片桐はづき/北川裕子/瀬戸口竜ノ介/高橋洋平/田村健太郎/蜂谷眞未/三浦英幸/山崎冴子
東京公演 07/4/05〜09
東京公演[新宿シアターアプル]
07/04/06

たった1枚のスクール水着を盗んだために、悲劇の主人公ジャン・バルジャンは19年間監獄に入れられた。罪名は「性犯罪」。それもスクール水着の持ち主が高校生ではなく、中学生であったからである。
模範囚だったジャン・バルジャンは刑期を満了して出所したが、前科者である事を宿敵ジャベール警部が公表したために「性犯罪者=<変態>」のレッテルを貼られ続けた。世の中は彼に仕事も、住む場所すらも与えず、ジャン・バルジャンは自分の運命(性癖)を呪い、そしてそんな世間を憎んだ。
そんな彼が流れ着いた場所。そこが <<ル・歌舞伎町>> 。数年前に原子力発電所の原子炉が爆発し、放射能汚染が酷く誰も近付かないこの町は、表の社会では生きていけない訳ありの者たちが自然と集まりそれぞれの過去に干渉する事なく暮らしていた。
彼を暖かく受け容れてくれたただひとつの町に恩返しするため、バルジャンは立ち上がるのだった。

脚本・演出がブルースカイさんで、出演に池谷のぶえさんと野間口徹さんの名前があったので観てきました。世の中、目や耳を覆いたくなるような事件の内容をオブラートで包んでいるから「そんな事はしないだろぅ」と、事実が伝わらない事もあると思うけれど、これは敢えてハッキリやってくれて感謝したい。扱っている題材が題材(性犯罪や原子力発電についてのリアル面)で、かーなーりギリギリな内容。私の知らない(体験者にはなりたくないし、他の女子をそうさせたくない)世界も満載って感じでした。オペレッタ(社会風刺を入れたオペラ)形式だったので、思う存分現代社会の警鐘を鳴らしていたというか、お前ら目ぇ覚ませよ的なメッセージがあったというか。自分自身が現代社会を風刺したものを観た事がなかったので、めちゃめちゃ衝撃的でした。
盗んだスクール水着の持ち主とひょんな事から再会した市長のジャン・バルジャン。彼女の転落人生を聞き、忘れ形見となった娘さんを引き取るまでは紳士的だったんですけどね〜・・・。血が繋がらない少女と生活したらねぇ〜・・・。ストライクゾーンに入った娘との縁を切って疎遠しようとするでしょう。
原子力エネルギーはクリーンでちょっとの分量で莫大な電力を造り出す事が売りだけど、融合炉の事故や廃棄物がねぇ〜。本当にクリーンならば、廃棄物をコンクリ詰めして地中のそんな深くに埋めなくても良かろうて。更には廃棄用地の募集なんてしないで自分の所に埋めるし〜・・・未来に託すなんて事はしないよね〜・・・。臨界事故が起きたら人間手も足も出ないんだから、そりゃ事故対策として一日8時間みっちりお詫びの練習もするわいな〜・・・。って、一日8時間お詫びの練習は皮肉ですが、廃棄物はリアルでしょ?
適度なリアルさがあって、軽すぎず、重すぎず。猫ひろしさんはキャラをそのまま生かされたりしてて(笑) 舞台演出が上手かった。曲のチョイスとか、照明とか、幕間展開とか、オープニングのダンスシーンとか。原作の長々しい所とか、ここいらないんじゃないの? 的な部分とかも忠実にパロられているそうで、公演時間は15分休憩を挟んで3時間近くはあった。事実、長かったー(苦笑)

ジャン・バルジャン役は廣川三憲さん。お声が素敵で、歌も上手い! ぼろ雑巾のようなジャン・バルジャンが、市長に相応しい立派な紳士になるというあの変化っぷりも違和感がなく、「あの紳士が性犯罪者?!」というギャップはお見事。衝撃的だったのは、スクール水着をお召しになったお姿・・・。レスラーかと思いました(笑)
池谷のぶえさんはジャン・バルジャンの姉、ジャン・バルジャンの養女となる娘を引き取っている酒場の女将、シスターの3役(廣川三憲さん以外は基本的に何役かこなされてます)。お歌もちょこっとありました。メインは酒場の女将。ジャン・バルジャンから巻き上げた大金で市長婦人に上りつめる腹黒くいじわるな役なのに、シスターでは菩薩のような笑顔。そのギャップがまた、のぶえさんらしかった。
野間口徹さんは、街の人(不確かな記憶)、アイダホポテトというギャングの一員、のちに反乱軍の幹部で、ジャン・バルジャンの養女と恋に落ちる後半の重要人物。彼は30才の自分が14才の少女に恋をしているのは「変態ではないか!」と苦悩する人で、その事実を受け入れられないという役柄。歌のシーンもあり、野間口さんのブログで「(少し歌のシーンがあって)練習してますが歌は苦手です」とあっただけあって、、、苦手のようです(^ ^;

あの『レ・ミゼラブル』を『レミゼラブ・ル』とした事はブルースカイさんお得意ジャンルのナンセンスかもしれないけれど、ストーリー中の事象が自分の理解の中ではあり得る事だったから、ナンセンスという風には思えなかった。ただし、フライヤーか何かで見た「ジャンバルジャンはスクール水着を盗った」という事がココ迄の内容になるとは予想してなかったからなぁ(汗) このストーリーを違う街の箱でやったら、観終わって出てきた時に違和感があるかもしれないけれど、(本当の歌舞伎町を知らないから)イメージ的に歌舞伎町という街にフィットしていたように思う。
ブルースカイさんにはもっと様々なジャンルで風刺的な脚本を出して欲しいなぁ。



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