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<フライヤー表紙>

  【アトリエ・ダンカンプロデュース公演
ティム・ファース..G2
マッドネス青井陽治

中川晃教、池田有希子、池田成志、坂元健児、新納慎也、入絵加奈子、瀬戸カトリーヌ、後藤ひろひと、香寿たつき、今井清隆 他
東京公演 6/16〜7/2、 愛知公演 7/8〜9
大阪公演 7/13〜17、 石川公演 7/19
新潟公演 7/21〜22
..東京公演[新国立劇場]2006/07/02

ロンドンの下町で貧しい生活を送っている、少年ジョー・ケイシー(中川晃教)。家の前のケイシーストリートは、祖父の功績からその名を付けられた。住んでいる家も、祖父の功績の賜物だ。この家は昔から人々が集まる、とっても素敵な場所だった。いつも元気な母(香寿たつき)。しかし、父親(今井清隆)は犯罪に巻き込まれてしまい、刑務所に服役後そのまま姿を消してしまった。そんなジョーもついに16歳。同級生の彼女・サラ(池田有希子)だけは、犯罪者の子供であるジョーを受け入れてくれていた。立派な大人だと認められる喜ばしい16歳の誕生日、サラを連れてパーティーを抜け出した彼の人生は "良いジョー"  と "悪いジョー" に枝分かれしてしまう。
"悪いジョー" は悪徳商売に手を染めてはその手法で大儲けし、世間をうまく渡り始める。逆に"良いジョー"は正直故に少年鑑別所に入れられ、世間の冷たさ、厳しさを味わう羽目になってしまった。2人のジョーを見守る現世に存在しない父。そして、彼の運命を左右していく悪友のリーシー(池田成志)。
2人のジョーは、時にすれ違い、そして交差し、共に運命という螺旋階段を登って行くが、辿り着く先は全く違うものだった・・・。

東京楽日、観てきました。コレからツアーが始り、愛知・大阪・石川、そして7/22新潟公演が本楽です。
今回この観劇を選んだのは、我らの大王・後藤ひろひと氏がすっごい入れ込んだ訳詞をされたという部分から。更には単純にチケット取れたから〜位、軽い気持ちでした。が、、、とても素敵なミュージカルで、役者・音楽・セット・構成・脚本、どれを取っても花丸つけちゃいます。あと2回は観ておきたかったと後悔・・・。
MADNESS『OUR HOUSE』の楽曲にのせてティーン・エイジが大人になっていく様を描いたストーリーで、16歳というやんちゃパワーの爆発、ティーンの恋、若さ故の過ち、母や友人への愛情、ビジネス、結婚、そして因果応報的なエンディングまで、約2時間があっという間で熱かった。かーなーり、オススメ作品です。
MADNESSの楽器も超ROCK&POPで良い。このミュージカル、ABBAの『マンマミーア!』やQWEENの『WE WILL ROCK YOU!』と同じく、アーティストがミュージカル用に楽曲を提供しているので、曲も歌詞もストーリーにピッタリ。"楽曲や歌・ダンス"をおもいっきりスカっと気分良く楽しめたし、なおかつストーリーは教訓的なメッセージ性があるという、全体的なバランスが私には心地良かった。大王はチョロッと役だったけれど、ミスター・プレスマンという不動産屋として、劇中に激しい笑いをもたらしていました。悪友リーシーの池田成志さんは『ダブリン〜』でクールな市長役が印象に残っていたので、デフォルトで金髪を逆立てた姿を「スーパーサイヤ人」と言って手から気を発して同級生を飛ばしてみたり、「オレ 16歳だしぃ〜〜」と客席にアピルかのように言って笑いを誘いうとは・・・。一番意外なキャスティングでしたが、面白かったです(笑)
骨となるストーリーは、"正直に生きて行くジョー"と、"悪に染まって行くジョー"が成長していく過程に起こる、恋・自分が守りたいもの・仲間・社会との折衝などなど。それぞれでジョーの性質や考え方は違うけれど、愛すべきもの・守りたいものは同じ。それだから、"正直なジョーの場合はこう"、 "悪いジョーの場合はこう" と、1つの出来事に対しとった行動も比べやすく、更にそれぞれのシーンがリズミカルでいて交互に展開していったのですごい分かりやすかった。ストーリー中間では、「正直モノはバカを見る」とか、「人よりお金持ちになりたければ素直に商売していてもムダ」とかの、世間でも昨今人々が口にするような事も表現されたので、なんだか正直に生きるって良い事なのかなって思ってしまう事も多々あったんだけれど・・・クライマックスを観たらそんなの吹っ飛んだわ。
そのクライマックスは、2人が同時に登場し、大切にしている家族に起こった結末を味わうんだけど、結末自体が究極で、対極。良いジョーは貧しくてずっっと堪えの人生だったけど、大切な総ての者が手に入る。逆に悪いジョーは良い生活していても全てを失ってしまう。この結末を観て「そうだ。人生はどんな事があってもこうして生きて行くものなんだ!」と誰もが思った所で、時間はあの分岐した16歳の夜に・・・戻るんだよぉ〜。そして、あの間違えた道に進まないんだなぁ。この演出にはやられてきました。
あ、言っちゃった(笑)
ココまでスピーディーなシーン展開を可能にしたのはとてもシンプルなセットと廻り舞台。セットなんて、背景・両脇はタイル張りの壁が基本で、その中をちょっと作り込んだ小さな箱のようなセットを出演者が人海戦術で踊りながら移動・設置をしていく。廻り舞台は(例えば上手・下手)をスピーディーに変えるという大役を務めていた。工夫という言葉では簡単すぎるけれど、最小限のモノでいくつものシーンに変えられるといのうは凄い。G2の演出、うまかったなぁ〜。初ミュージカル演出には見えなかった。
メイン出演者も廻りを固めるアンサンブルの方々も歌って踊れる方ばかり。だから、歌のパワーや、声の表情がとっっても豊かで聞いていて気持ち良いし、ダンスがかっこいいのなんのって!!
父親役の今井清隆氏は舞台に重厚感や深みを出してた。キャリアもそうだけど、声は低音で暖かさがあって、さすがに「B&B」で野獣やったり、レミゼご出演されていただけある。↑に現世に存在しないと書きましたが、実は服役後無事に出所するんだけど、自宅に帰る前にまたも不運な事件に巻き込まれて死んでしまっているの。その事実を家族は知らないという、悲しい役でしたが、常にジョーの側にいて正しい道に導こうと語りかけている愛情に泣けた。もちろん、現世で生きている2人のジョーにはその姿は見えないし、声も聞こえないんだけど、"良いジョー" はそんな父の優しさにちゃんと気付いて、最後は見えない父に語りかけるの。観ていた私は自然と涙が流れて心をキュンとつままれて、かなりジーンときてしまいました。
役者誰かひとりが飛び出て目立っていたという事も・・・まぁ〜約1大王位はありましたが(笑) ソレは、息抜的シーンのみで、全体的にメリハリもあって心にちゃんと残るモノでした。
アンサンブルは街人のお隣さん・学生服・真っ赤で羽根の付いたショーガール・囚人服などなど、衣装変えが何着もあって楽しいの。個人的には前から気になっているキュートなお姉さん・染谷妃波さんの衣装が何着も観れたし、ダンスも綺麗で目の保養になりました♪

そして最後に。
大王は英語詞の訳をテストで100点取れそうな堅苦しいモノではなく「ニュアンスや英語の発音を損なわないように」と、音(おん)を大切にして日本語詞を付けられたそうだ。MADNESSを心底愛し、リスペクトしている大王の愛が溢れた訳詞だったからこそである。この訳詞を見たG2は、リハ段階から涙・涙だったようです。



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