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緒方明彦(貞広高志)はリアルで鮮明な夢を見る。戦国時代よりも前の貴族社会らしき時代に、刀をもったヤツらに追われ投獄された挙げ句に拷問を受けたり、命からがら逃げ出し恋人の目の前で追っ手に殺されてしまうというものだ。そんな緒方は、ある日街中で西野恵(邑野みあ)と出逢う。初対面で見つめ合う二人は互いに、なんとも言い難い奇妙な印象を持つ。緒方は声をかけるが、その気持ちを上手く伝えられないまま別れ、三ヵ月が過ぎた。 西野はバンドメンバーの小野寺(Nao)と黒部(富士原新)の新居探しに付き合い、花輪不動産(寿里)と、ある部屋に行く。人が住んでいなはずのその部屋には家具と入れたてのコーヒーが置かれていた。何の疑いも無くそのコーヒーを飲む黒部と西野に、ただただ呆れる小野寺。小野寺は「ココはあり得ない」と、違う部屋を探す事にし、その部屋を後にした。 するとその日、西野は不思議な夢を見た。夢の舞台は昼間行ったあの部屋で、そこにはいつか会った緒方と真央(福田花音)が住んでいたのだ。昼間あのコーヒーを飲んでいない小野寺の姿だけはなく、目覚めれば現実がある西野と黒部に対し、緒方と真央は「目覚められないからココから出られない」と言うのだ。 夢を見る度にこの部屋へとやってくる西野と黒部。緒方と西野はお互いに抱く印象を話し合い、それが二人共通して持つ記憶=前世である事に気付く。それは千年前、愛し合いながらも戦乱に巻き込まれ、引き裂かれた男女の悲恋であり、それが現在の二人に他ならなかったのだ。 夢の中でしか会えない二人は現実世界で会うことを約束するが、、、。 |
先に正直に告白します。公演が決った時に出演者の名前やスポンサー、タイアップ、それからおおまかなあらすじを見て「『千歳月』は100パーセント商業演劇でできています(嫌な予感)」な作りだったらどうしようかと、一抹の不安が過りました。だけど、そんなにも心配する程の事はなかったし、『あなたは永久の恋を信じますか?』的な悲恋モノのエンディングをある程度予測してたのに、私、毎回号泣(笑) 役者陣の力や演出にヤラレました。 脚本は舞台よりは、ドラマ等の映像モノでもう少し長い時間演れるものの方がより良くなる気がする。もちろん舞台の臨場感ってのは重要なんだけど、時間の制約なのかお話をコンパクトにまとめてたように感じた。せっかく前世という過去の時間軸が絡んでて、主役以外のキャラもしっかり作られて粒ぞろいで、Scene of Heavenの『千歳月』もあるのだから、もう少し登場人物の日常に踏み込んでなおかつ映像効果のあるモノが見たいなと、上を見てしまう。バンドの路上ライブ、ツンデレ小野寺と落ち着きのない信也の日常、冷静な担当医の車田、静かに熱い男古橋、御曹子(?)の花輪。この芝居の役者が出ないでも、映像化されたら楽しいだろうなぁ。 あと、ほぼ1つの部屋でストーリーが展開していくのは舞台向きだけれど、3ヶ月後だとか、もう夢の中だったとか、セリフを聞いて「あぁ、そうなのか」と気付く所が勿体ない。総べて見せずにある程度のイマジネーションを客席に求めるのも手法だけど、私にはそれがちょっと難しかったのは残念。 時間軸や空間等の表現に「色」を使われてたのは印象的。ステージ上には真っ白な「部屋」が中央にセットされ、上手にはこ洒落たベンチが一脚。「部屋」の机、椅子、ソファー、本棚、CDプレイヤーは白一色で、BIG TREEのステージの壁や床は全面黒で統一されていたから「部屋」自体がそこに浮かんでいるように見えた。色を持っているのは『現実に存在しているモノ』と『それに附随するモノ』だけ。 初めて観た日には西野恵役の邑野みあさんの熱演に自分の気持ちが共鳴してしまい、何シーンも一緒になって泣いてました。そんなに泣かないと思ってたのですけれど、1000年もの間 生まれ変わって彼にまた出逢う事だけを待ち焦がれていた前世の彼女の溢れ出る感情が、現在の時間軸でバンドやってる普通の女の子・西野を津波のようにブワッと襲って平常心をさらっていく様にグッとキまして。それとココ一番の表情、例えば「悔しい!!」とか「嬉しい!!」とかの時、顔をくちゃくちゃにしながら涙が滝みたいに溢れてて、それぞれの気持ちというか、その感情の波(パワー)がすっごい伝わってきたんだなぁ〜。一度見てそれぞれのシーンを覚えて心構えがあるハズなのに、その後2公演観てもみあさんには同じ所で泣かれされました(笑) 緒方明彦役の貞広高志さん。3年近く芝居を観ていますが、今回の役が一番しっくり来た。恋人を残し先に死んでしまうけれども、その恋人に心配を掛けさせないようにと命絶え絶えなのに心遣える愛情あるあの表情・特に目は良かったなぁ〜。真央を見守る優しい目も素敵だった。彼は恋愛モノに向いてるのかもしれない。と思う。 キーポイントであった真央役のハロプロエッグ・福田花音ちゃん。舞台で物怖じしないのに可憐で、さらに可愛い。「おいで、黒部っち」と160度位振り返って大人っぽく指招きした時には、誰もが黒部っちになりたかった事でしょう。ぎゅっと目を閉じて緒方の腰にしがみつくその姿に、誰もが緒方になりたいと思ったことでしょう。もうね〜・・・凄いカワイイの!! 出演者の素材を上手く演出されたサービスシーンが何ヶ所かあったのは印象的というか、、、確信犯ですよ、演出の四大海さん(笑) |
フライヤ−にもありましたが25日はおまけ付きで、それぞれが口ひげ姿(花音ちゃんも!!)で特技を披露。花音ちゃんは6年前から始めたバトン。寿里くんは中国コマ。みあさんと貞広さんはキャッチボール(笑) そして抽選会で当選者には出演者直筆の寄せ書き色紙があたるというもの。ちなみにお友達がばっちり当選し、劇場を出るまでの間花音ちゃんファンの方に花音ちゃんのコメント撮影に何度も呼び止められたそうです(笑) 最後にScene of HeavenのNaoさんが他のメンバーと一緒にLIVEで『千歳月』を唄ってくれました。※ヒゲはありません!! 芝居ではアーミー風コートにブーツカットジーンズにピンヒールでクールなツンデレ小野寺でしたが、白と黒だったかぁ〜・・・春らしいストライプミニワンピにお着替え。それまでの表情をガラッと変え、歌詞の通り切なげに熱唱していたNaoさんはやっぱり表現者だなぁ〜と、その出でたちと歌声に惚れ惚れしちゃいました。 4日は急遽プチおまけ付きで抽選会と、Scene of HeavenのLIVEで『千歳月』。またまた口ひげ姿で登場の出演者。ひげの種類が口ヒゲからアゴヒゲにグレードアップしてた花音ちゃんがかわいかった(笑) この日のNaoさんは黒いノースリーブと膝の部分からスリットの入ったロングスカートで、黒のロングブーツがチラ見えしてせくすぃ〜♪ 歌のクライマックスではサクラの紙吹雪が天井から舞い降り、すっごい情景的で感動的でした。それを観ていた舞台初主演のみあさんは両手で顔を覆うように号泣〜(T-T) Naoさんがそれに気付いて、歌の最後にみあさんの所に歩み寄って寄り添っていました。 そんなNaoさんにもサプライズ。Naoさんの背後から、Naoさんが劇団S.W.A.T!で気になる存在の万年研究生のカモメ君がオレンジ色のバラを片手に、『千歳月』舞台に初登場!! 振り向いてカモメ君を見たNaoさん、一瞬止まって号泣〜っっっ 感動の再会でした。 カーテンコールは3回位あったのかな? 泣くまいと思っていた花音ちゃんも、最後には堪えきれずに泣いてしまい、会場からは暖かな拍手が。みあさんと貞広さんと手を繋いで帰って行く姿は、なんだかリアル家族みたいでした。 Scene of Heavenの『千歳月』から脚本『千歳月』が生まれ、その脚本を四大海の演出で具体化し、役者がそれぞれの役に魂を吹き込む。素晴らしい縁が次々と繋がり、ココから生まれたものってたくさんあったんじゃないのかな。 |