デフォルトで天邪鬼なワタクシは 「話題の○○!」 「流行の○○!」 という類の物はあまりスンナリと手に取れない。どうもそういったうたい文句に 「絶対に踊らされん!!」 と、意固地になるらしい。
なので。今更ながら 『博士の愛した数式』 を読んだ訳ですが。
…色々と打ちひしがれた_| ̄|○
数学しかり、主人公の感情しかり、博士の容態しかり、義姉の感情や過去の関係しかり、、。
様々な要素が多いのに、それぞれがとても静かで自己主張をしない。
それぞれがまるで、選ばれるのを…待っている…というか、手を伸べられたらその手を取るという控えめさに、切なさすら感じた。
あと、登場人物の、固有名詞が、無かったように思う。
あってもあだ名であったり、役職であったりして、読者が身近な人物像を連想してしまうコトも回避していたように思った。
感情の波をぶわっと起こさせるのに、読者との間に静かにスタンスを保っているのも凄いけれど。大人になって、様々なコトを学んだからこそ、作品から受け取れるコトも多々あったように思った。
奪ったり求めたりする事も無く、見返りを求めずに与えること。
それが、心地の良いということ。穏やかでいられるということ。
自分にマッチングしてると、綿が水を吸い込むように、あっという間に読み終えてしまう。
掛かった時間は短くとも、ココロにしっかりと残る。
素晴らしい、素敵な作品でした。